胃ポリープとは?
健康診断の結果や胃カメラで「胃ポリープがありました」と言われると、「がんでは?」「放っておいて大丈夫?」と不安になる方が多いと思います。
胃ポリープは、胃の内側(粘膜)にできる“できもの”の総称で、多くは良性です。ただし、種類によって対応が変わるため、まずは「どのタイプのポリープか」を把握することが大切です。胃カメラでは、ポリープの形や大きさを確認でき、必要に応じて組織を少し採って調べる(生検)ことで、より正確に判断できます。
胃底腺ポリープ
胃の上の方(胃底腺と呼ばれる部分)にできやすいポリープです。健診や胃カメラで偶然見つかることが多く、自覚症状がないケースがほとんどです。一般的には良性で、経過を見ながら確認していくことが多いタイプですが、ポリープの見え方や大きさによっては詳しい確認が必要になることもあります。
過形成性ポリープ
胃の粘膜が炎症などの影響で盛り上がってできるタイプです。こちらも無症状のことが多い一方で、大きさや出血の有無によっては注意が必要になります。胃の状態(慢性的な胃炎など)と関連して見つかることがあり、胃カメラで胃全体の粘膜の様子も含めて確認することが重要です。
腺腫(腺腫性ポリープ)
腺腫は、胃の腺組織から発生するポリープで、主に胃の内壁にある腺細胞が異常に増殖することによって形成されます。このタイプのポリープは、胃の内側(粘膜)の深い部分に発生することが多く、がん化のリスクが他のポリープに比べて高いため、注意深く評価する必要があります。腺腫は見た目では良性か悪性かを判断しにくいため、当院では胃カメラで観察する際に、生検(組織を少し採取して調べる方法)を行い、ポリープの性質を詳しく検査しています。
胃ポリープの症状
胃ポリープは多くの場合、症状がないまま経過することが多いですが、ポリープが大きくなることで、いくつかの症状が現れることがあります。これらの症状が現れると、胃の働きに影響を与え、日常生活に不快感が生じることがあるかもしれません。
これらの症状が必ずしもポリープによるものとは限りませんが、他の原因も考えられるため、少しでも気になることがあれば早めにご相談ください。
胃もたれ
胃ポリープが大きくなると、食後に胃もたれを感じることがあります。ポリープが胃の粘膜に影響を与え、胃の消化機能がうまく働かないため、食事後に重さを感じたり、すっきりしないことがあります。
胃の不快感
ポリープが胃の内壁にできると、胃の不快感が生じることがあります。特に食後や空腹時に、胃が張った感じや違和感を覚えることがあり、長時間続くこともあります。
吐き気
胃ポリープが胃の動きに影響を与えることで、吐き気を感じることもあります。ポリープが大きくなったり、炎症が進行すると、胃の働きが乱れ、吐き気を感じる場合があります。
貧血
まれに、胃ポリープが出血を引き起こすことがあります。胃からの微量の出血が続くと、貧血を引き起こす可能性があります。貧血が進行すると、顔色が悪くなったり、疲れやすくなることがあります。
このような症状に心当たりがある方は一度当院へご相談ください。
胃ポリープの検査方法
胃ポリープの診断には、主に内視鏡検査(胃カメラ)が用いられます。胃カメラを使うことで、ポリープの大きさや形状を直接確認できるため、非常に有効な方法です。場合によっては、バリウム検査や生検が行われることもありますが、どの方法が最適かは、あなたの症状や医師の判断によります。以下に、代表的な検査方法についてご説明します。
内視鏡検査(胃カメラ)
胃ポリープの診断で最も一般的に行われるのは、内視鏡検査(胃カメラ)です。この検査では、細長いカメラを使って胃の内部を直接見ることができ、ポリープの状態を確認することができます。検査中は、軽い鎮静剤を使用することもあるため、痛みを感じることは少なく、リラックスして受けることができます。
バリウム検査
バリウム検査は、X線を使った胃の画像検査です。バリウムという液体を飲んで、胃の形をX線で撮影します。これによってポリープが見つかることもありますが、内視鏡検査ほど詳細に確認することはできません。そのため、バリウム検査で異常が見つかれば、次に胃カメラで詳しく確認することをおすすめしています。
生検(組織検査)
内視鏡検査中に、ポリープの一部を生検することがあります。これは、ポリープが良性か悪性かを確認するための組織検査です。小さな針でポリープの一部を採取し、病理検査に回します。生検の結果をもとに、ポリープががんの前兆であるかどうか、どのような治療が必要かを判断します。もし生検が必要になった場合でも、痛みを感じることはほとんどなく、安心して受けていただけます。
胃ポリープとがんの関係
胃ポリープは多くの場合、良性ですが、ポリープの一部はがんに進行する可能性があるため、注意が必要です。がんに進行するリスクがあるのは、特定のポリープの種類に限られますが、早期に発見し適切に対処することが重要です。ここでは、胃ポリープががんになることがあるのか、進行を防ぐためにどうすればよいのかを解説します。
ポリープの種類とがん化リスク
胃ポリープの中には、がん化する可能性があるポリープもあります。例えば、腺腫(腺腫性ポリープ)はがんに進行するリスクが高いため、発見された場合は定期的な経過観察や、必要に応じて切除を行うことが推奨されます。ポリープが大きくなるほど、がん化するリスクが高まることがあるため、注意が必要です。
放置しても大丈夫?検査・経過観察の目安
ほとんどの胃ポリープは良性で、がん化するリスクは低いですが、定期的な経過観察が必要です。ポリープの大きさや種類によっては、検査で問題がないか確認するために、定期的に胃カメラを受けることが重要です。がん化する可能性があるポリープは早期に発見すれば、治療や切除で対処できますので、適切なタイミングで再検査を行うことが大切です。
胃ポリープの治療法
胃ポリープの治療法は、ポリープの種類や大きさ、がん化のリスクに応じて異なります。多くのポリープは経過観察で問題ないことが多いですが、がん化のリスクがある場合や症状が現れる場合は、早期に治療を行うことが重要です。ここでは、代表的な治療法とその後の注意点についてご説明します。
内視鏡的治療
胃ポリープの治療法として最も一般的なのは、内視鏡的治療です。この治療では、胃カメラを使ってポリープを取り除くことができます。ポリペクトミー(ポリープの切除)や、EMR(内視鏡的粘膜切除術)が行われることが多く、これらの治療方法は、ポリープを胃の中で切除するため、身体に負担が少なく、入院せずに日帰りで済むことがほとんどです。
内視鏡的治療は、がん化のリスクが高いポリープや症状があるポリープに対して行われます。治療後は、ポリープが完全に取り除かれたかどうかを確認するために、定期的に検査を受けることが重要です。早期治療を行うことで、がん化のリスクを大幅に減らすことができます。
治療後の注意点と定期検査
内視鏡的治療を受けた後は、治療部位の回復と再発予防のために、定期的な検査が必要です。ポリープが完全に取り除かれたかどうかを確認するために、当院では1〜2年に一度の胃カメラ検査をおすすめしています。
再発の兆しが見られる場合、早期に発見して治療を行うことで、がん化のリスクを減らすことができます。
また、治療後は胃の粘膜が回復するまで消化に優しい食事を心がけ、無理をしないようにしてください。食事の際には、辛いものや刺激物を避け、胃に負担をかけないようにすることが大切です。
胃ポリープの予防について
胃ポリープの予防には、生活習慣の改善とピロリ菌の除菌が大きな役割を果たします。また、定期的に胃の健康をチェックすることで、ポリープの早期発見や悪化を防ぐことができます。以下に、胃ポリープを予防するための具体的な方法についてご説明します。
ピロリ菌除菌
ピロリ菌は、胃に感染する細菌で、胃炎や胃潰瘍、さらには胃がんのリスクを高めることが知られています。胃ポリープの原因の一つとしても関与していることがあり、ピロリ菌を除菌することで胃ポリープの発生を予防することができます。
ピロリ菌は、簡単な血液検査や呼気検査で確認できます。もし感染が確認された場合、抗生物質を使った治療で除菌することができますので、気になる方は一度検査を受けてみることをおすすめします。
生活習慣の改善
胃ポリープを予防するためには、健康的な生活習慣が非常に重要です。特に、以下のポイントを心がけることで、胃の健康を守ることができます。
■バランスの取れた食事
食物繊維を多く含む野菜や果物を摂取し、脂肪分や塩分の過剰摂取を避けるようにしましょう。過剰なアルコールや辛い食べ物も胃に負担をかけるので控えめにしましょう。
■禁煙
喫煙は胃の粘膜を傷つけ、胃ポリープや胃炎の原因になることがあります。禁煙することで、胃の健康が大きく改善されます。
■ストレス管理
ストレスが胃の状態に影響を与えることがあります。リラックスできる時間を作り、過度なストレスを避けることが予防に繋がります。
定期検診
胃ポリープを早期に発見し、進行を防ぐためには、定期的な胃の検査(胃カメラ)が不可欠です。特に40歳以上の方や胃に不安がある方は、定期的に検査を受けることをおすすめします。胃カメラを受けることで、ポリープの大きさや状態を確認し、必要な対応を早期に取ることができますのでまずは一度当院へご相談ください。